日本に生まれ育ったインド人の女性がいた。
彼女はアメリカ人と結婚して神戸に住んでいた。
最初の商品のネーミングをさせてほしいという申し入れがあったので、なんとなく受け入れた。私が開発した商品に他人のネーミングを快く受け入れた。その時は、単純に私の周りにいる異界の生命たちが動かしているのだと思って、深く考えなかった。
その後、私と二人だけで話がしたいという伝言を受け取った。
どのくらいの日にちが経過したのか今は思い出せないが、家族が経営する大きなインド料理店に招かれた後、数日して住まいを訪問することになった。
神戸の三宮駅から歩いていけるとても便利な場所にある自宅を訪ねた。広いリビングの隣にある2帖ほどの小さな部屋に案内された。その部屋にはサイババの写真があった。
そのころ日本でブームになっていたサイババとは容姿が大きく違うので誰ですかと聞こうとすると、彼女はそれは一代前のサイババの写真ですと言った。
テレビなどで見るサイババとは、大きく違って、先代は痩せて精悍な顔立ちだった。
難行苦行で鍛え上げた肉体と目の輝きがあった。
前のサイババが好きだったと彼女はいった。
私はサイババには興味がなかったので、そこはすぐに終わり、広いリビングに向かい合って座った。
向かい合った二人の距離は4-5Mくらいあったと覚えている。
少し話をしていると、彼女の頭上に直径1Mくらいの異界が現れた。
その異界にイエスの聖母のような姿をした女性が現れ、続けてイエスのような姿をした男性が現れた。
私はそこまではすごく冷静で、無感動だった。
が次の瞬間、地球の生命とは明らかに違う生命が現れて少し驚いた。
私は鈍いせいかあまり驚かないたちのようなのだが、人間ではない異界の生命の姿には少し動揺した。
続けて、不思議な姿の異界の生命を見つめていると、私の何かがその中に引っ張られているように感じた。
私は驚いて、頭を振ってそれを止めた。
すると彼女は嫌いですか?
意味深なことを言ってほほ笑んだ。
彼女の目的はこれを見せることだったようだ。
好奇心はあったが、日も暮れてきたので失礼することにした。
今ならじっくりと異界のことについて話をしたり、異界の生命に関して突っ込んだ話ができたかもしれない。
数年後に伝え聞くところによると阪神淡路大震災後にアメリカに移住したと聞いた。
彼女の目的はなんだったのかと考えることが時々ある。今ならば色々な意味で対応できるので、機会があれば再会して見たいと思っている。
とにかくオーランドで異界の生命と遭遇してからはとても忙しい日々を送ることになったが、それは肉体だけの話ではなかった。
黄金のマスクの男性と銀のマスクの女性も現れたり、ヘラクレスのような肉体を持った大きな男性も現れた。
会社は周りの人たちに振り回されるようになっていったが、何とか運営できていた。
会社が始まってすぐに異界の生命は仲間の一人を通じて私に話しかけるようになった。
好奇心いっぱいの私は生命、宇宙、物質、死後世界、異次元について質問ばかりしていた。
私は会社に関係ないことばかりに興味を持ち、異次元の生命たちに興味を持つようになっていた。
そのころから会社は少しおかしな方向へ進み出した。
私は他人を通じての会話ではなく異界の生命との直接話ができるようになりたかった。
そのように伝えると直ぐにできるようになった。
直接異界の生命と話をするようになった頃だった、会社の近くに借りた部屋の広いベランダから外を眺めていると、雲ひとつない青空の中から白く輝く人型の背の高い異界の生命がゆっくりと歩くようにして私のいる部屋に入ってきた。
部屋に入ると消えた。
異界の生命の姿を間近で見たのはその時までに4回ほどあった。
その時から、それまで毎日のように話をしている異界の生命の様子が変化した。
私を大阪から遠くへ連れ出そうとしているのを感じた。私は自分を失い彼らの思惑通りに翻弄されていた。
しばらくして大震災が起こった。
激震だった阪神間に事務所があり被災した。
幸いに怪我はなく、事務所も無事だったが、周辺が機能していないので、一時避難して営業を再開する必要があった。
その後しばらくして会社を長野県に移したが、数か月後に私は別の異界の生命集団と共に大阪に帰ることになった。
それまでに会話していた異界の生命たちに感じていた違和感の意味を知ることになった。